オコゼ - 弁慶丸

西潟正人の魚道場

オコゼ

2021.03.19

●オコゼ

醜い魚の代表で、猟師は山の神(女)を鎮めるために腰に干しオコゼをぶら下げて山へ入ると言う。美味でも知られる超高級魚なのだが、背ビレの棘に猛毒があって刺されると即病院に行かなければならない。うっかり掴まないことだ。耐え難い強烈な痛みを伴うので、漁師からも疎まれる魚である。毒棘さえ切り取れば、皮も胃袋も無駄にならない。家庭でオコゼのお造りは贅沢すぎるだろう、酒もとっておきの大吟醸を用意せねば。

 

料理

①オコゼは、古びたボロ雑巾のようだ。

②ハサミで背ビレの棘を、残さずに切り取る。

③はらを開いて肝臓、胃袋、卵巣は取り置いたら、タワシで水洗いする。

④頭を落としたら、皮を頭部から剥がす。皮も捨てない。

⑤胃袋は開いて洗い、皮、肝、卵巣と一緒に湯引きして冷水に取る。

⑥胴部を三枚に下ろして、腹骨をすき切る。

⑦薄皮の面をまな板につけて、身を薄く削ぎ切るように刺し身にする。薄皮が1枚、まな板に残る要領だ。薄皮は竹串に巻いて塩焼きにする。

⑧オコゼのお造り。小さな1匹も捨てるところがないから、豪華な晩酌が待っている。

胃袋・皮・肝などは、湯引きして添える。

⑨皮を剥いだ身をぶつ切りにして、昆布出汁で煮る。

 

⑩オコゼの味噌汁が、こりゃまたうまい。

 

⑪残ったオコゼの頭を真っ二つに切る。

 

⑫唐揚げもうまい。頭部だけでも楽しめる。ボロ雑巾が超高級魚に変わるのだから、創造の神も面白い悪戯をするものだ。