私は今から16年前に、脱サラをして大阪から鳥取にIターンで移住して漁師になりました。
私もサラリーマン時代は、都会のコンクリートジャングルに囲まれた競争社会の中であくせく生きていました。「何かが違う」と自問自答しながら、与えられたノルマを必死でこなす日々。
鳥取で漁師になり、大自然の中で生きていく中で、自分自身の価値観や人生観が大きく変わりました。自分という存在が大自然に生かされながら生きている事に気づくと、ひとりの人間が抱えている悩みや怒りなんていかに些細で小さな出来事であるのかを実感します。だからこそ、今、ここで私が毎日、体感しているこの大自然の素晴らしさ・海の恵みのありがたさを多くの人に伝えたいのです。
この地方の漁師町においても大自然の素晴らしさ・海の恵みのありがたさを知らない子供たちが増えてきました。目の前に雄大な日本海が広がり、恵まれた環境にいるにもかかわらず、真夏でも色白の子供たちです。
都会では、骨のある魚や頭の付いた鮮魚を食べられない子供たち・アジの開きが本当に海で泳いでいると信じている子供がいるのも不思議ではありません。我々大人の地方の地域住民でさえも、パック詰めの切り身の魚でしか料理できなくなってしまったぐらいですから・・・。切り身の冷凍魚では、子供たちに「魚の命をいただく」という命の教育なんて出来るはずがありません。
四方を海で囲まれ、大自然に恵まれたこの国に生まれながら、私達の生活はすでに自然からかけ離れたものになってしまっています。 自然の中で創造力を養い、大きな心を育むことが、今の子供たちにとっても、私たち大人にとっても本当に必要なことだと切に思います。
我々、大人も競争社会の中であくせく働き、疲れきった背中を子供たちに見せるために働いている訳ではありません。大人になる事はとても楽しい事であり、社会に出て働く意義や社会に必要とされている充実感を子どもたちに伝えて行かなければいけません。
共働きで忙しい現代の食卓に多い「時短」であるとか「早くて安くて便利な食べ物」を求める時代はもう間もなく終わると思います。これからはひとりで食べる「孤食」から家族での「共食(きょうしょく)」の時代となり、「家族回帰」の時代がやってくると私は確信しています。人々が集まる集団や組織の原点は「会社」ではなく「家族」です。人々が本能的に家族に回帰してくるのはごくごく自然の流れです。
日本の魚食文化の再生を通して、家族の絆をつなぎ直すという事が弁慶丸のミッションです。当社の場合、丸の魚をそのままご家庭にお届けいたしますので、魚を捌いて頂かないといけません。この魚を捌くという行為は、本来なら親から子に受け継がれる家庭教育のひとつだと考えています。現在は家族のつながりが希薄になり、魚をさばく行為が受け継がれにくい環境になっています。だからこそ魚を通してもう一度、家族の絆をつなぎ直して頂きたいという思いを込めて弁慶丸のミッションにしております。
当社の「家族の絆をつなぎ直す」というミッションと家族回帰の時代がシンクロしてくるこの時に、このサイトが大いに役立てるかと思います。家族や自然と触れ合う環境作りの第一歩としてご利用頂ければ幸いです。あなたとのこの貴重な出会いに「感謝」!!です。
文責 弁慶丸 河西 信明