イナダ/いなだ(ハマチ) - 弁慶丸

西潟正人の魚道場

イナダ/いなだ(ハマチ)

2019.06.18

イナダ/いなだ(ハマチ)の捌き方・料理レシピ(刺身・カマ焼き・アラ煮

イナダ/いなだ(ハマチ)は出世魚の代表で、大きくなるほど高級魚へ出世していく。大物は1㍍、重さは15㌔を超える。モジャコ→ワカシ→イナダ(ハマチ)→ワラサ→ブリ と、成長により呼び名が変わるには道理がある。稚魚の時期に、流れ藻につくことからモジャコ、20センチほどでワカシ、40センチくらいまでがイナダ。関西方面では、ワカシをツバス、イナダのサイズをハマチと呼ぶ事があり、養殖ハマチと混同されやすい。このイナダ/いなだ(ハマチ)は出世するまでの味の違いを楽しむのがおもしろい。イナダ/いなだ(ハマチ)の体長は35~40㌢、太っていたら、味は親であるブリといい勝負をする。魚一匹余すことなく料理できるのが、この魚の特徴だ。家族がいる家庭なら、切り身より絶対にお買い得。ここでは、基本的な捌き方を中心に刺身・カマ焼き・アラ煮の料理レシピを説明していこう。

代表的な料理 刺身・焼き物(照り焼き)・煮物(ブリ大根)・しゃぶしゃぶ・カマ焼き・ブリ茶漬け
イナダ/いなだ(ハマチ)は、個体差によっては、脂分が少ないので、 竜田揚げ・ムニエル・唐揚げなどの油を使った料理が好まれる傾向がある。

イナダ/いなだ(ハマチ)の下ごしらえ

① 表面は見かけより汚れている。粘液には雑菌が含まれるので、しっかり洗いたい。

② 固くて細かいウロコは、包丁を使って落とす。ヌメリも一緒に、ヒレの際も残さずこそげ落とす。

③ エラぶたを開けて、エラを切る。

④ 腹を肛門の先まで開くのは、内臓が伸びているからだ。

⑤ エラごと内臓を取り出す。

⑥ 背骨についている血合いを切る。

⑦ 洗う。ササラ道具がなければ、歯ブラシで血合いを洗い流す。

⑧ しっかりと水気を拭き取って、イナダ/いなだ(ハマチ)の下ごしらえの完了だ。

イナダ/いなだ(ハマチ)の三枚下ろし

⑨ 胸ビレと腹ビレを取り去る。

⑩ エラぶたから包丁を入れて、首骨を切断する。

⑪ 裏に返して、頭部を切り離す。

⑫ 胸肉は、大きく切断する。

⑬ 切り分けて、カマ部にする。(後からカマ焼きに使用)

⑭ 中骨に沿って2枚の身を開くと、三枚下ろしとなる。時々、「ブリ糸状虫(しじょうちゅう)」をアニサキスと勘違いされるが、ハマチ(イナダ・いなだ)特有の寄生虫なので、食べても健康被害はなし。
取り除くだけで十分だ。

イナダ/いなだ(ハマチ)のサク取り

⑮ 内臓を包んでいた、腹骨をすき切る。

⑯ 尾の方向から、皮を引く。

⑰ 中心に走る小骨(血合い骨)に沿って、腹身を取る。

⑱ 小骨(血合い骨)を取り去る。

⑲ 片身で、2本のサクになる。

イナダ/いなだ(ハマチ)の刺し身

⑳ サクは肉厚の山を向こうに、谷を手前に置く。包丁を少し寝かせながら、厚さ7㍉ほどを目安に右側から切り揃える。

㉑ 背身を枕にして、腹身を手前に盛ると美しい刺身が出来上がる。

イナダ/いなだ(ハマチ)のカマ焼き

㉒ カマ部はしょう油と酒、みりん少々に漬けておく。

㉓ 塩焼きと違う、濃厚なカマ焼きだ。

イナダ/いなだ(ハマチ)のアラ煮

㉔ 下あごにつながる、エラぶたを取り去る。

㉕ 頭部を2つ割りにして、さらに適宜に切る。

㉖ しょう油味で大根と煮ると、ブリ大根だ。残りを冷蔵庫に入れて、翌日の煮こごりはたまらない。まさに、骨までしゃぶり尽くすイナダ/いなだ(ハマチ)料理の完成だ。