イサキ(伊佐木) - 弁慶丸

西潟正人の魚道場

イサキ(伊佐木)

2020.01.17

イサキ(伊佐木)の捌き方・料理レシピ
刺身・焼き白子・カマ焼き・塩焼き(姿焼き)・干物・開き干し

イサキは、夏の魚だ。6~7月の産卵期に、脂がのって旨くなる。白身魚が珍重される季節だけに、夏のイサキは高級魚だ。白身魚の少ない夏の時期、「マゴチ」と並ぶ高級魚の座に君臨する。釣り人気も高く、夏の遊漁船はイサキがスター選手でもある。だからこそ、刺し身だけ食べていてはもったいない。イサキに限らずだが、魚の旨味は各パーツに隠れている。たとえば、皮。皮にまで脂が乗っているから、カリッと焼き上がる。たとえば、白子。腹を開いて見つけたら、祝い酒の用意から始めよう。ここでは、基本的な捌き方を中心に刺身・焼き白子・カマ焼き・焼き皮・塩焼き(姿焼き)・干物・開き干しの料理レシピを説明していこう。

代表的な料理 刺身・塩焼き・煮付け・潮汁・干物(開き干し)・水なます・吸い物
イサキの骨は硬いことでも有名だが、いい出汁(ダシ)が出る。頭と中骨、内臓の脂も入れて吸い物にしよう。暑い夏には、キンと冷えた吸い物もごちそうだ。イサキは骨まで旨い夏の高級魚だ。

イサキ(伊佐木)の目利き

①雌雄の見分けは難しいが、雄の方が断然旨い。雌は卵巣に栄養を取られるから、身が痩せてしまう。雄は楽をしているのか、身が元気だ。産卵期は初夏から夏。

②体長25センチ以上は欲しい。10センチ前後は黄色い線が走り、イノシシの子に見立てて瓜坊(うりぼう)と呼ばれる。30センチを超すとイサキは別物に変身する。瓜坊(うりぼう)は大きな群れになるが、成長するほどに数が少なくなるのは自然界の常。いとも簡単に超高級魚の仲間入り。

イサキ(伊佐木)の下ごしらえ

③皮も食べるから、細かいウロコもしっかり落とす。

④腹が大きいときは、ハサミを使って腹皮を切って腹を開く。白子を見つけたら慎重に取り置き、エラごと腹ワタを取り除く。

⑤血合いを切って水洗い、水気を拭き取って下ごしらえの完了だ。

イサキ(伊佐木)の刺し身

⑥エラぶたの位置から、頭部を落とす。

⑦胸ビレがついているカマ部は、腹身まで大きく切り取る。生殖巣が発達していると、腹身は薄くなるので刺し身に向かない。

⑧片身の中心線を走る小骨(血合い骨)を、刺抜きで抜く。

⑨包丁の刃を、まな板に押しつけるようにして皮を引く。皮下の脂層を、皮に残さないこと。それでも、皮には脂が残る。

⑩小骨が抜かれているので、片身をそのまま大きく刺し身にする。夏の白身で、これだけ脂の乗る魚は珍しい。大イサキの場合は、片身を2本にサク取りにする。塩だけで食べても、乙なものだ。

イサキ(伊佐木)の焼き白子

⑪アルミホイルの上に乗せて、オーブンで焼く。芯まで火を通す必要はない。表面が少し焦げたら、焼き上がりだ。

⑫真夏にフグの白子を食べているような、得意気な味わい。祝い酒は大吟醸を奮発して、キンと冷やしたい。

イサキ(伊佐木)のカマ焼き

⑬大きく切り取った、カマ部を塩焼きにする。焼き冷ましを、晩酌のサカナにするとたまらなくいい。

イサキ(伊佐木)の焼き皮

⑭卵巣や、残った頭部も塩焼きにする。一押しは、カリッと焼き上がった皮。イサキの皮は、白子に次ぐ珍味だ。

イサキ(伊佐木)の塩焼き(姿焼き)

⑮イサキ料理では定番と思われるだろうが、よく見て欲しい。イサキの姿焼きは、腹を開いて腹ワタを出さない。腹ワタの脂や旨味を、身に滲ませるためだ。腹を出した姿焼きは、サンマと同じでつまらない。

イサキ(伊佐木)の干物・開き干し

⑯腹開きにして、かるく塩をふる。風通しのいい日陰に、半日ほど干す。

⑰開いた側を7割ほど焼いてから、皮側を3割で焼上げる。干すだけで、皮の旨味は倍増する。ほっくり外れた身と食べる、香ばしさ。夏には、贅沢な開き干しだ。