メジナ(クロメジナ) - 弁慶丸

西潟正人の魚道場

メジナ(クロメジナ)

2020.01.15

メジナ(クロメジナ)

黒潮域の潮通しにいい荒磯にいるのがクロメジナ、俗に尾長(おなが)と呼ばれる。対してメジナは沿岸にいて、俗に口太(くちぶと)。関西地方の釣り人は、尊称をこめて両者をグレと呼び習わす。食味より釣り味に魅了されるようで、魚屋の価値はいまいち低い。魚はすべからく、扱い方さえ間違えねば驚くほどの魅了を発揮する。

 

刺し身

①メジナ(くちぶと)。幼魚は、港の岸壁にも群れる。

②クロメジナ(おなが)。黒っぽさが薄らいで、精かんな体つきに見える。グレの尊称は、クロメジナにこそ相応しい。

③エラぶたを開けて、内臓を傷つけないように腹を開く。

④エラごと内臓をそっくり出したら、血合いを切って水洗いする。

⑤水気をしっかり拭き取ったら、下ごしらえの完了だ。

⑥頭部は、鰓(えら)孔から落とす。

⑦胸ビレ際からカマ部を切り取ったら、ヒレは短く切り揃える。

⑧背ビレ際から包丁を入れる。

⑨尾ビレ際で包丁を回して、腹側から片身を開く。

⑩反対側も同様に開いたら、三枚下ろしの完了だ。

⑪腹骨をすき切る。

⑫片身の中心を走る血合い骨は、背身に残して腹身を取る。

⑬背身に残った血合い骨を切り取る。

⑭二枚の片身は四本のサクになって、サク取りの完了だ。

⑮皮を引く。

⑯曳いた皮は捨てずに、竹串に巻く。

⑰上品なメジナの刺し身。

⑱皮は塩をして焼く。

⑲皮は湯引きしてもよく、見つけた白子(精巣)とともに刺し身に添える。

⑳カマ部と皮、白子を塩焼きにしても逸品だ。