赤エビ(甘エビ) - 弁慶丸

西潟正人の魚道場

赤エビ(甘エビ)

2019.09.13

赤エビ(甘エビ)

タラバエビ科ホッコクアカエビが標準和名だが、一般市場はアマエビ、鳥取(賀露町)では赤エビと呼ぶ。雄が性転換して雌になるため、ほとんどが抱卵している。刺し身で食べると、トロッとした甘みがあるため、アマエビ。回転寿司でもお馴染みだが、このエビは日保ちがしない。今回は、ちょっと保存のきく料理法も紹介しよう。

 

塩焼き

①生を堪能したら、塩焼きといきたい。

②そのまま焼き網にのせ、頭部が左向きになるように焼く。天火コンロなら左向きで7割ほど焼いてから、表側に返して塩を振り焼き上げる。

③皿に盛った姿は、左向きで美しい。

④青かった卵巣が、殻と同じ橙色だ。頭部も殻ごと食べてこそ、香ばしい。

 

塩ゆで

⑤沸騰した湯に、多めの塩を入れる。

⑥アマエビを入れて、一煮立ちさせる。煮すぎると身がやせ、固くなるので注意しよう。

⑦ザルにあけて、湯を切る。

⑧同じナベで乾煎りするように、残った水分を飛ばす。

⑨熱が冷めたら、容器に入れて保存する。好きなときに殻を剥いて食べるもよし、料理に使うもよし。

⑩頭部は塩焼きにして、ビールのつまみにする。

⑪残りを保存すると、ブイヤベースなどには最高の出汁になる。

 

ガン漬け

⑫佐賀有明地方に、シオマネキ(カニ)を使った珍味がある。アマエビだって、負けてはいない。粗塩と唐辛子をたっぷり入れて、丸ごとたたきつぶす。

⑬擂り鉢では、細かく砕けすぎる。本場のガン漬けは、臼と杵だ。

⑭身がほどよくつぶれ、殻が荒っぽく残っていてよし。

⑮ビンに入れて、思い出したらかき混ぜる。

⑯一ヶ月以上がたち、忘れたころに食べてみよう。めちゃくちゃしょっぱく、なおかつ辛い。そこを我慢して噛みしめると、ウマ味が舌にまるく広がる。男の独酌に、これ以上のものはない。軟弱な酒より、硬派な芋焼酎がよく似合う。