レンコ鯛(キダイ) - 弁慶丸

西潟正人の魚道場

レンコ鯛(キダイ)

2019.07.29

一般にレンコと呼ばれ、魚屋は「連子鯛」と書く。なぜか同じサイズが連なるように群れるから、祝儀など宴を受け持つ料理屋に喜ばれる。数少ないタイ科魚で、関西がキダイなら関東はチダイが多いようだ。若狭名物の「笹漬け」には小型のキダイが不可欠だから、小浜漁港には何十箱と積み重なる。食ったら、関東人だって降参する。キダイ料理は「締めレンコ」、これしかない。

締めレンコ

① キダイは、大きくても20㌢ほどでしかない。体表に輝きがあり、目に張りがあったら鮮度は上々。

② ウロコを落としたら、エラぶたを開けて腹を開く。エラごと内臓を引き出したら水洗いして、水気を拭き取る。ここまでは基本的な、魚の下ごしらえだ。

③ 頭は開いて、カマ部とともに塩焼きにする。

④ 中骨に沿って三枚下ろしにしたら、腹骨をすき切る。開いた身側にたっぷりと塩をして、3時間ほど締める。魚から水分を抜くと、ウマ味は凝縮する。

⑤ 水洗いして水気を拭き取り、生酢に漬け込む。漬け時間は魚の大きさにより異なるが、3~6時間が目安。身の断面が、1㍉ほど白くなったらころ合いだ。

⑥ 水気を、しっかり拭き取る。

⑦ 10㌢以上のキダイなら、小骨(血合い骨)切り取ってサクに取る。

⑧ 小さければ、抜いてしまう。

⑨ 一口サイズに薄切りする。

⑩ 木樽があれば(土産物の空き樽)、漬け込んでおくといい香りがつく。木がまだ水分を吸ってくれるから、さらにウマ味が増す。

⑪ 我慢できなければ、できたてを食べてしまおう。これもまた、たまらない。キダイ1匹じゃ、少なすぎる。